13日の金曜日
「モノって、何気に溜まるよね。」
引越しを手伝いに来たサキは言いながら、散らかった室内を軽く物色した。
部屋の住人には悪いが、お礼に貰って嬉しそうなものはなさそうだ。
束ねた本の横に
いくつかの箱が積んである。手に取ると一気に湿った埃の匂いがあがった。
「ねー。これーどうするのー。」
住人のサワコはというと、窓際で服を神妙に日にかざして眺めている。
人を手伝いに呼んでおいて何をしているんだ。
「ねー、コレどうかな?」
サワコは、聞こえていなかったのか、服をヒラヒラさせた。
「は?」
「いる?」
「いい。いらない。」古ぼけた上に微妙なセンスだ。いらない。
腹いせに、手元の箱を開けてみた。
各種の郵便だった。封筒の大きさがまちまちで差出人も別々のようだ。
ほほう。プライベートですねえ。封筒の一つを手に取った。
振り返ると、サワコが見ている。
バレた!
「ごめん。なんだろうと思って。」
立ち上がった弾みに、封筒の中身がすべり落ちた。
「あ。ごめん。ごめん。」
部屋に似つかわしくないものだった。金色の扇。
サワコが拾ってパラパラ広げている。
「どうしたのそれ?和歌かな?なんてかいてあるの?」
サキは、話を謎の扇にそらすようにした。興味もある。
「古いものだよ。」
サワコは、窓から扇を空へ高く投げた。
「え。捨てるの?」
扇が思いのほか高く舞い上がった。
太陽の光に消えたのち、
木の葉のように落ちていった。
サワコは振り返った。
「古いものだから、価値があるように思えるの。不思議。」
「不思議・・・だね。」
光と埃に眩んだ目をこすった。
微妙なセンスなりに服が分別してあるようだった。






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